BOZ SCAGGS / Hard Times

Down Two Then Left

Down Two Then Left

ボズ・スキャッグスを取り上げるのは2回目ですが、改めてハマってます。ボズといえばバラードのイメージなんでしょうが、私はバラードだけでなく、ミディアム・テンポの曲も好きで、以前紹介した「JoJo」、「Miss Sun」、「Lowdown」、「Hollywood」などもお気に入り。
とにかく大人のイメージなんですね。「ガキは聴くな」くらいの迫力もあります。
私がボズを初めて聴いたのは高校2年くらいの頃で、多聞に漏れず「ウィア・オール・アローン」でした。そこからベストを聴き、名盤「シルク・ディグリーズ」も聴きましたが、そこはまだケツの青い若造ですから、バラードばかりに耳を奪われてました。
ところがですよ。
社会人になると途端にそんな甘〜いバラードでお茶を濁すほど楽な世界ではないわけで、そこでだんだん大人のロックにハマるようになってきました。パンクやニューウェーヴのような「青さ」や「初期衝動」よりも、「人生の苦味」だとか「高くて超えられない壁」のようなAORを聴くようになったわけです。もちろん今でもどっちも聴くのですが、かつてはほとんど理解不能だったAOR(なにせドナルド・フェイゲンの「ナイトフライ」ですら駄作と思ってたくらいでした)がスーッと「わかる」ようになった。
・・・などと書くと、渋谷陽一あたりからクソミソに言われそうですが、事実そうでした。
で、今年のテーマソングのようになっていたのがこの「ハード・タイムス」。同じタイトルでもヒューマン・リーグの「ハード・タイムス」とは別世界(w。
この曲は「シルク・ディグリーズ」に続くアルバム「ダウン・トゥ・ゼン・レフト」に収録されたヒット曲ですが、地味といえば地味。でもこのジワーッと汗がにじみ出るようなアレンジとボズの「乾いた熱唱」がまさに「ハード・タイムス」なわけで、これが今年一年ビンビンに響いていたのですよ。
バックは当然TOTOのメンバー。何しろ故ジェフ・ポーカロのドラムの音の大きさとかっこよさにしびれまくります。控えめだけれど効果的なデヴィッド・ペイチのキーボード、そして文句なくかっこいいレイ・パーカーJr.のリズム・ギター(本当に過小評価されていると思います)。
さて、みなさんの今年の「テーマソング」は何でしたか? 私にとって今年がどんな年だったかは、この曲からご想像くださいませ。