DEEP PURPLE / Never Before

Machine Head

Machine Head

ディープ・パープルに関しては、妙な距離感があります。
私の兄が高校生のころ、ビートルズの次にはまっていた洋楽がディープ・パープルでした(後追いです)。ポップの権化のビートルズから、長尺でハードロックでインプロヴィゼーションばりばりの彼らへとは、なかなか移れませんでした。兄弟(8歳差がある)はだいたい嗜好が似てくるものですが、彼らについてはハマれませんでした。
まあ当時私は幼稚園〜小学校低学年ですから、そういうのはまだ早かったのでしょう。なんせ当時一番好きだったビートルズの曲が童謡っぽい「フロム・ミー・トゥ・ユー」でしたし。
それでも、感受性の強い子供のころということを抜きにしても、あの長尺の曲が多い彼らの曲はそれなりに覚えてしまってましたから、彼ら(=リッチー・ブラックモア)の曲は様式美の中にもポップ寄りな要素は大きかったのだなと思います。
時代は下ります。高校生の頃になると、それなりに過激な音楽も聴くようになります。当時は80年代真っ盛りでしたが、私はリアルタイムの音楽以上にポスト・パンク〜ニュー・ウェーヴにはまります。するとディープ・パープルのような音楽は、様式美ゆえか私には非常にオールドウェイヴに感じました。ということで、彼らの音楽の素晴らしさ、完成度の高さは十分すぎるほど理解している(ニューウェーヴなんか聞いてるとなおのこと感じる)ものの、どうも私のアンテナからはちょっとずれてました。よりポップ度の高かったレインボウはしっかり聞いてましたが。
というわけで、とても良きパープル・リスナーとはいえない私ですが、ハードロック系の楽曲単位で一番知っているのは結局パープルだったりします。「紫の炎」「スペース・トラッキン」「ブラック・ナイト」「ハイウェイ・スター」、どれもとんでもない名曲だと思います。
さーて、そんな私が選んだのは名盤「マシン・ヘッド」の中の1曲、「ネヴァー・ビフォア」。この曲は当時シングルカットされたそうですね。「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「ハイウェイ・スター」など名曲目白押しのアルバムですが、やはり曲の長さがシングルとしてはネックだったんでしょう。というわけで、この曲は非常にコンパクトにまとまったポップな曲。リッチーが「こんなヒット狙いの曲ならいつでも書けるわい」とうぶやいているのが目に浮かぶような感じがします。