KAJA / Your Appetite

Crazy Peoples Right to Speak

Crazy Peoples Right to Speak

デュランといえばカジャグーグーの存在はやはり忘れられません。もっとも「二番煎じ」の感は相当強かったでしょうが、その裏にニック・ローズがいたわけですから当然といえば当然。ニックがかかわっただけあって、1stはシンセ中心の音作りが目立ち、加えてリマールの甘い声ですから、どうしても軟弱なイメージがあり、シングル「君はTOO SHY」も含めて私はあまり好きではありませんでした。

ところがです。あっさりと人気者リマールをクビにし(てっきりリマールが色気を出してソロに転身したかと思ったら実はそういうことだったらしい)、セカンドはフュージョン&ファンクに移行し、その結果大方のファンは去り、逆に一部は「けっこう演奏上手かったんだ」と驚いた結果になりました。いやいやまったく、こいつらは「けっこう」どころか、メチャクチャ演奏が上手かった。特に後にチャップマン・スティックの奏者として有名になるニック・ベッグスのベースは、個人的にはレベル42のマーク・キングに次ぐ上手さだと思ったものです。

その後、バンド名をカジャに変更、そしてサード・アルバムを出すわけですが、イギリスのみならず日本でもほとんど売れませんでした。セカンドではまだ「ビッグ・アップル」「ライオンズ・マウス」といったヒット曲があったのですが、サードからのシングル「涙の傷あと」は下位で終わり、セカンドで見直したファンにとってはこのサードは幻のアルバムとなってしまいました。

しかしこのサード、80年代のニュー・ロマンティック以降の作品の中でも屈指の傑作。詳しくは「ダメ盤検証」のページを参照していただくとして、アレンジもよく練られていますし、曲のよさもセカンドを遥かに凌駕する出来。今回紹介する「アペタイト」は曲展開も飽きさせない佳作。この曲以外にもいい曲は多いので、再発されたらぜひ聴いてみてください。

ただ難を一つだけ。リマールにせよ、後を継いだニックにせよ、ヴォーカルの声質にはどうも肌が合いません。どっちかといえば気持ち悪い(ファンの方すまん)。どっちもある意味中性的ですが、ボーイ・ジョージのような上手さやピート・バーンズのようなエキセントリックさもなく今ひとつとしかいいようがない。ルックスも・・・なんとなく無理してる感じが昔からしていましたが。