STING / Fortress Around Your Heart

Dream of the Blue Turtles

Dream of the Blue Turtles

ポリスを寸前のタイミングでリアルタイムで体験できなかった私ですが、このスティングのソロはリアルタイムで体験できました。当時「あのポリスの中心人物であるスティング」のソロという見方で非常に注目されていたのを思い出します。ポリス後期は初期と異なり、ワールドミュージックやバラードをやってもあくまでロックのフィールドで勝負していたような音だったのですが、このソロではジャズ色が強いものになり、1stシングル「セット・ゼム・フリー」は比較的そのなかでもロックっぽかったものの、ポリスを知る人にとっては「ちょっと違う」という感想を持ったと思います。

スティングのバックグラウンドからいけばこの路線も納得がいくものの、希薄なビート感や緊張感が後追いでポリスを知った私でも物足りなさを感じたものです。結果としてこのアルバムも大ヒットし、現在にいたるまでスーパースターであり続けている彼ですが、ポリス時代とは異なるファンが多くいるように感じます。

確かにソロになった以上、ポリスの延長線上ではまったく無意味なんですが、結果的にはアンディのギターやスチュワートのドラムがポリスサウンドに大きく寄与していたことを逆説的に示すものになったように思います。

さて、今回紹介する曲はその1stアルバムからのセカンドシングル。「セット・ゼム・フリー」やその後カットされた「ラヴ・イズ・ザ・セヴンス・ウェイヴ」「ラシアンズ」ほど売れなかったものの、1stの中では一番ポリスっぽさがあったいい曲です。地味ではありますが。モノクロの印象的なPVも懐かしい作品。