SWING OUT SISTER / Where In The World

Kaleidoscope World

Kaleidoscope World

シングル「ブレイクアウト」の大ヒット、「サレンダー」「トワイライト・ワールド」「フールド・バイ・ア・スマイル」とヒットが連発した1st「ベター・トゥ・トラベル」を愛聴したものですが、イギリスを始め日本でもこのヒットはフロックに見られていたフシがありました。それは当時流行していたおしゃれ系のサウンドに加え、ヴォーカルのコリーンがモデル出身といったことがコアな音楽ファンから無視される要因になったように思われます。

ところが今一つのヒットに終わったセカンド「カレイドスコープ・ワールド」は力作ともいうべきものと私は評価しています。とっつきやすさでは1stに軍配が上がりますが、彼らにもともとあったA&M系(バカラックカーペンターズなど)の資質が大きく花開いたのがこの2作目。名曲という点ではシングルになった「ウェイティング・ゲーム」にとどめを刺すわけですが、私はあえてこの「ホエア・イン・ザ・ワールド」をおすすめします。単純にいえばこの曲、ヒネりすぎで非常に複雑な曲構成とアレンジが施されていますが、サード以降特に顕著になる地味さや暗さの一歩手前で踏みとどまりつつ、1stの親しみやすさを何とか維持しているという点で、非常に愛おしさを感じます。

何しろおしゃれ系として日本ではもてはやされてきたので彼らのアルバムは中古市場ではあふれかえっています。シャンプーやスキャットマン・ジョンのような扱いになっていることは非常に残念ですし、高校生時代に愛聴したアーティストなのでぜひ再評価してほしいなと思います。