JOHN WAITE / Just Like Lovers

motogakusei2005-03-09


ベイビーズからソロ活動、そしてバッド・イングリッシュを経てまたソロ活動と、地味ながらそこそこの実績を収めたジョン・ウェイト。「ポップ・ロッカー」というイメージとともに、優れたヴォーカリスト&ソングライターとしての側面はもっと評価されていいと思います。彼のからんだどの作品もそこそこのレベルにあるのがその証拠。80年代を知る人にとっては「ミッシング・ユー」の大ヒットの印象が強すぎたと思いますが、その「ミッシング・ユー」の収録されたセカンド・アルバム「ノー・ブレイクス」の勢いを駆って作ったのがサード・アルバム「マスク・オブ・スマイルズ」で、当時のジョンのインタビューでは“最高傑作”と評していた作品で、1stの「イグニッション」、セカンド「ノー・ブレイクス」といった佳作を遥かにしのぐクォリティは確かに勢いを感じます。

ところがです。売れなかった・・・。ここからの1stシングル「明日へのステップ」がトップ30くらいの中ヒットで終わってしまい、そこからソロ活動が低迷期に入ってしまいます。ジャーニーのニール・ショーンと組んだバッド・イングリッシュで復活するものの、当時のジョンの苦悩は大きかったのではないかと思います。

しかし、繰り返しますがこのアルバムは実に強力。捨て曲なしの屈指の名盤です。彼の場合、メロディーとヴォーカルにどこか哀愁味があり、それがヨーロッパの雰囲気を漂わせるアメリカン・ロック(?)になっているところがミソ。ただ能天気なだけのロックは作らない人でした。中でも当時B面の1曲目に収録されていた「ジャスト・ライク・ラヴァーズ」はせつないピアノのリフにハードなギターが絡むロッカ・バラードで、強く流れるようなそれでいてほとんどポエトリー・リーディングのようなヴォーカルは絶対にこの人以外にはできない個性。夕暮れ時や倦怠感があるときにこの曲を聴くと自然と涙が流れてくる曲です。

私はインタビューから窺えるジョンの人柄も好きで、今でも応援しているアーティスト。ジェリー・ベックリー/ロバート・ラム/カール・ウィルソンの共演盤「ライク・ア・ブラザー」にジョンがソングライティングに参加した作品が収録され、ひさびさに彼の活躍している姿を感じることができました。