STRAWBERRY SWITCHBLADE / Being Cold

ふたりのイエスタディ +9

ふたりのイエスタディ +9

ほとんど一発屋に近いのに、いつまでも心に残る曲&アーティストというのがあります。ストロベリー・スウィッチブレイドはその典型ではないでしょうか? 日本でもイギリスでも大ブレイクしたのは「ふたりのイエスタディ」(英5位)で、印象的なモノクロと人工着色の対照が効果的だったPVも当時評判になりました。この後は2枚のシングルがチャートの下位にランクされただけで消えていきました。

ジャケットを見てもわかるようにとにかく派手なメイクと水玉模様の衣装が印象的で、いかにもポスト・パンク然としたルックスなのに、「ふたりのイエスタディ」は極上のポップ・サウンドでした。その落差も印象的でした。何より立派なのは、彼女らは自作自演だったこと。80年代は彼女らが唯一残したファーストにしてラストアルバムを何度も何度も聴いたものです。

そんなファーストのラスト・ナンバーだったのが「ビーイング・コールド」。「ふたりのイエスタディ」や小ヒットした「レット・ハー・ゴー」、「ジョリーン」(オリビア・ニュートン・ジョンのカバー)とは正反対の正統派バラードを聞かせてくれました。これがまた涙でどしゃぶりになりそうなマイナー・メロディに打ちこみのオーケストレーションが入った作品。そして詩は旅立ちをテーマにした、これまた泣ける内容でした。現行のCDはボーナス・トラックが満載されていますが(私のは古いCDなので入っていない)、この曲がラストだと思って聴いてみてください。彼女らはハワード・ジョーンズと同じマネジメント・オフィスだったので、「12インチャーズ」という12インチ・ヴァージョンが入ったミニ・アルバムが出ています。興味がある人は頑張って中古を探してみてください。ちなみに彼女らのうちどちらかは現在も活動中なのですが、異様に地味な曲をやっていました。