SIMON & GARFUNKEL / April Come She Will

Sounds of Silence (Exp)

Sounds of Silence (Exp)

袴姿の女学生を見かける季節となると、「あぁ、卒業の時期なんだなぁ」と実感してきます。単純な発想ですが、「卒業」といえばサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」というわけで、今回はそのS&G。

でも私はひねくれておりますので定番「サウンド・オブ・サイレンス」ではなくて、この「4月になれば彼女は」を推します。当時のディランやバーズに代表されるフォーク・ロックではなく、ごくシンプルなフォーク・ナンバーですが、そこはかとない寂しさが感じられるメロディーに「別れの季節」としての春を感じさせるのです。

この曲の題材は歌詞を読んでもよくそのシチュエーションがわからないのですが、4月・5月・6月と月が移っていく毎に変わって行くであろう「彼女」の姿を描いており、8月には「彼女」は死んでしまい、9月にはかつては新しかった恋の終わりを感じるだろうという悲惨な結末で終わっています。

この曲が収録されたアルバム「サウンド・オブ・サイレンス」はこの曲に限らず「死」や「季節の終わり」「孤独」といった喪失感や失望感、さらには罪の意識といったものが題材となっているものが多いのが特徴的で、後の「明日に架ける橋」のようなポジティヴさはほとんど見うけられません。そのあたりの感触は初期のオフコースと共通するものがあります。そういえば彼らも最初はフォーク・デュオでしたね。