DAVID SYLVIAN / The Ink In The Well

motogakusei2005-02-06


ジャパンを知ったのは既に彼らが解散してから。デヴィッドのソロも「ブリリアント・トゥリーズ」は既に発売されていて、リアルタイムで知ったのは当時カセットテープでの発売しかなかった「錬金術」から。彼ほどアイドルからアーティストへの転身がうまくいった人もいないと思いますが、要はそれだけの才能を持っていた人だったといわけで、これはジャパンの他のメンバー、ミック・カーンやスティーヴ・ジャンセン、リチャード・バルビエリにもいえます。ジャパンについてはまた別の機会にふれることもあると思うのでここでは省略しますが、私が英国系にはまる大きなきっかけになったバンド&アーティストです。

デヴィッドの場合、ソロを出す毎にポップのフィールドから離れていってしまったため、私にとってはやはり1stアルバム「ブリリアント・トゥリーズ」の曲に愛着を感じてしまいます。中でもこのジャジーな「詩人の血」、日本で同名のバンドがいたように、この曲の完成度の高さは実に素晴らしい。デヴィッドとは相性のいい坂本龍一のシンセに加え、ジャパン時代にはほとんどなかったアコギの美しい響き、作品を出すたびに上手さを増すデヴィッドのヴォーカルが渾然一体となった大傑作。後追いの私にはすんなりと聴けたこの曲ですが、ジャパンの音に慣れ親しんだ昔からのファンにとっては驚きの連続だったのではないかなと思います。

この曲が収録された1stは他にも「プリング・パンチズ」、「レッド・ギター」、「ノスタルジア」、「輝ける樹木」などの傑作が満載されており、私の個人的な10指に入る名盤です。ちなみにこのアルバムは7曲しか入っていませんので、駄作がないということです。