MIKE OLDFIELD / Guilty

The Complete Mike Oldfield

The Complete Mike Oldfield

「チューブラー・ベルズ」しか語られない日本でのマイクの評価というのは何とも寂しい限りですが、ブリティッシュ・ポップのフィールドでも「ムーンライト・シャドー」の大ヒットやホール&オーツもカバーした「ファミリー・マン」といった佳曲を残していることも忘れてはならないでしょう。マイクは本来ギタリストとして傑出した人で、それは後に「ギターズ」というアルバムを残していることからもわかります。

ところが、ある種職人肌の彼が流行を意識した作品をシングルのみで残しています。実はそれがこの「ギルティー」。なんとエレポップなんです。プログレ、ギタリスト、マルチプレイヤーといったパブリック・イメージから最も遠いエレポップに挑戦したことは当然ながら当時のファンには賛否両論(どっちかといえば反対)がありました。しかしこのときのトライアルが前述のようにポップのフィールドで素晴らしい作品を残すきっかけとなったと思えますので、そう軽視はできないのです。

このギルティーはシンセ主体のインスト・ナンバー。一度聴いただけで妙に印象に残る作品になっています。私自身、本当はギタリストとしてのマイクが一番好きなのですが、何とも愛らしいこの曲に妙に愛着を感じてしまうのです。ジャケットは85年までの彼のベスト盤ですが、彼のこういった幅広い魅力が網羅できている良盤です。実はなかなか手に入りにくくなってしまっている作品ですが、最近のコンピ盤には入っていない曲が多く収録されています(2枚組ですし)ので、見つけたらぜひ手に入れてみてください。