MR.MISTER / Is It Love

Welcome to the Real World

Welcome to the Real World

高音でちょっとハスキーな声にベーシスト、とくれば、スティングが思い浮かぶのですが、Mr.ミスターリチャード・ペイジはスティングとよく比較されたものです(ルックスもちょっと近い)。またサウンドからジャーニーやエイジアなどと同じように産業ロックとしてくくられたこともありました。

ところが、このリチャード・ペイジ、かつてはペイジズというAOR屈指の実力派バンドとしてならすなど、現在はむしろそちらのほうでの評価が高い。加えてMr.ミスター自体があっさりとヒットチャートからフェードアウトしたこともあり、かようにMr.ミスターとは何だったのか、印象が薄いのが今の状況です。

Mr.ミスターの代表作が「キリエ」「ブロークン・ウィングス」といった大ヒット曲ゆえに、一髪屋としてのイメージも強いのですが、アルバム「ウェルカム・トゥ・ザ・リアル・ワールド」を聴くと、彼らはやはりニューウェーヴ以降のロック・バンドではなく、AOR的な職人バンドだなと思うわけです。

さて、今回取り上げた「イズ・イット・ラヴ」は3枚目のシングルカット。前2作の全米1位に比べると中ヒットで終わりましたが、一番曲とアレンジのバランスがいい作品だと思っております。コンパクトな中にメリハリのある展開はさすがの貫禄。というかアルバム自体そういう曲で満載なわけで、個人的にはグラミー賞とってもおかしくないくらいの傑作。

前述の通り、このときのヒットがウソかのように続くアルバム「Go On」はまったく売れず(私もさすがにこのアルバムはダメ)、消えていったのですが、このセカンドは80年代屈指の名作。職人が手抜きなし、テンションあげっぱなしで作るといかにすごいかを思い知らされます。