a-ha / The Blue Sky

Hunting High & Low

Hunting High & Low

ヒットした「テイク・オン・ミー」、あるいは「シャイン・オン・TV」、「リビング・デイライツ」にはどこか翳りのあるサウンドと声に彼らの個性が感じられたわけですが、イギリスで人気を維持しつづけたように基本的に彼らのサウンドはブリティッシュのエレポップの系譜につながっていました。それは彼らのイギリス、アメリカ進出戦略に際し、トニー・マンスフィールドをプロデューサーとして迎えたあたりにもその狙いが見えてきます。

ところが大ヒットした1stアルバムにはまだどこか彼らの故郷ノルウェーを思わせるような寒々しい凛とした空気のある曲が含まれています。その代表がこの「ブルー・スカイ」。短い曲ですが、何とも寂しげな歌詞といい、シンセの重ね方といい、彼らの個性である「翳り」を強調したナンバーとなっています。

個人的にはこの曲を聴くと中学3年生の冬を思い出します。実に美しい曲です。ちなみにシングル「ハンティング・ハイ・アンド・ロウ」(リミックス)のB面にはこの曲のデモ・ヴァージョンが入っていて、アレンジの基本はほとんど同じながらより曲の骨格が見えて興味深いものとなっています。彼らの場合、曲によって出来・不出来の差が激しいものの、この1stと3rd「ステイ・オン・ジーズ・ロード」は必聴。ポール・ワークターのソングライティング能力はもっと評価されていいと思うけどなぁ。