COREY HART / EURUSSIAN EYES

Boy in the Box

Boy in the Box

一般には1stからの「サングラス・アット・ナイト」やセカンドの「ネヴァー・サレンダー」のヒット、あるいはサードでのエルヴィス・プレスリーのカバー「好きにならずにいられない」が知られていますが、セカンドに収められたこの「ユーラシアン・アイズ」は隠れた名曲として、シングルカットされなかったにもかかわらず、彼のベスト盤によく収録される代表曲です。後にサントラ「ナインハーフ」でも使用されたように、この曲の魅力は当時も知る人ぞ知るものだったと言えます。

典型的なコリー節ともいえるほろ苦さのあるメロディーと熱いヴォーカルが素晴らしい。もともとは恋人エリカさん(彼女はハーフだったそう)に触発されたものだそうで、ロマンティックな一面もある曲です。

コリーといえばカナダ出身ということもあって、当時ブライアン・アダムスとよく比較されていました。前向きな歌詞や歌心あふれるヴォーカル・スタイルなどに共通性があるのですが、音楽的には全然違うバック・グラウンドがあるように思います。ブライアンの場合、ストレートなロック感覚(彼のカバーにクラッシュやチャック・ベリー、ボビー・フラー・フォーがある)があるのに対し、コリーの場合はニュー・ウェイヴを経過したロック感覚があります。それは効果的なシンセの使用(「サングラス・アット・ナイト」や「コマレード・キエフ」などが典型)と起伏の激しいメロディやベースライン(「サニー・プレイス-シェーディー・ピープル」など)が彼の音楽性を特徴づけていて、意外と凝った曲展開やアレンジが聴けます。ですからブライアンというよりポリスやニック・カーショウあたりと感触が近い気がしています。

最近はちっとも話題も出なくなりましたが、才能のある人ですし、何より日本でファンの多い人(数々編まれるベスト盤がその証拠)なので何とか復活してほしいアーティストの一人です。