SQUEEZE / Black Coffee In Bed

Sweets from a Stranger

Sweets from a Stranger

ジョン・レノンポール・マッカートニーに匹敵するソングライターコンビ、というキャッチがどうにも納得いかず、実はスクィーズはどっちかといえば嫌いなバンドでした。彼らの作る曲は小技が随所に盛り込まれ、あざとさが見え過ぎるところや、どこかスカした歌詞、いかにもイギリスのバンドですという主張が見える小市民的なこじんまりとした感じ(これはコステロのヒット作「パンチ・ザ・クロック」にも感じた印象と同じ)がカンに触るといいますか。

ところがどうにも「やはり名曲だ」としかいいようがない曲もあるのが事実で、デビュー曲の「テイク・ミー・アイム・ユアーズ」のカッコ良さ、「プリング・マッスルズ」の哀愁はやはり心を捉えて離さないものがありました。意外にも彼らには大ヒット曲が少なく、「クール・フォー・キャッツ」(英2位)、「アップ・ザ・ジャンクション」(英2位)、「ラベルド・ウィズ・ラヴ」(英4位)の3曲しかトップ10ヒットがなく、今回紹介する「ブラック・コーヒー・イン・ベッド」も「ラベルド〜」の大ヒットのあとの先行シングルにもかかわらず英51位と終わった作品。

私も当初この曲は何ということもないと思っていましたが、この間ふと秋晴れの中、車に乗っているときにこの曲のメロディーが口を突いて出たことで、今まで嫌っていた小市民的な彼らの典型的作品が好きになったのです。ほのぼのとしたリフとまったりとしたリズムが妙に和む曲です。いまだにスクィーズが好きなバンドの一つというには抵抗がありますが、いなかったら寂しいタイプだなとは思いました。