NICK LOWE / Cruel To Be Kind

Labour of Lust

Labour of Lust

スティッフ・レコードを支え、コステロデイヴ・エドモンズらとともにパンク以降のパブ・ロック・シーンの重鎮であるニック・ロウ。この人もまあ一筋縄ではいかないほど音楽性の広い人ですが、たとえばこの「恋するふたり」や「メリー・プロヴァスト」「ソー・イット・ゴーズ」などのシンプルなポップ・ロック・ソングこそ彼の本領が余すところなく発揮されていると思います。

コステロ同様近年は趣味の世界に走って渋い御方となってしまいましたが、ある意味もっとも英国的な香りを持った人です。おそらくは大元はアメリカン・オールディーズやロカビリー、カントリーが好きで好きでたまらぬ人なはずですが、それを自分でやろうとすればするほど英国的になってしまうのは、アメリカン・オルタナを目指そうとするブラー(この人たちもそうすればするほど己の英国体質が出てしまう愛らしいバンド)に似ています。

ところで「恋するふたり」といえばビートルズに同じ邦題の名曲(「恋する二人」)がありますが、どちらもどこか甘酸っぱくて、アコギの響きが素敵なところまで一致しているのはなんだか不思議な因縁を感じます。