STEVE WINWOOD / There's A River

Talking Back to the Night

Talking Back to the Night

アルバム「アーク・オブ・ア・ダイバー」のヒットの後に出た「トーキング・バック・トゥ・ザ・ナイト」。後にリメイクされ、ヒットもした「青空のヴァレリー」も収録されてるのにセールス的には今2歩といった結果に終わりました。悪い作品じゃないんですが、まあ地味ですね。確かに。

今回ご紹介するのはその地味なアルバムのラストに収録されている「ゼアズ・ア・リヴァー」。いやー、地味です。しかし漢字を替えれば「滋味」ですよ。スティーヴ独特のオルガンの音色に抑えたヴォーカルがかぶさるバラード。「しみじみ・オブ・しみじみズ」ともいう後味を残してくれます。

この人の作品はある種「職人」的なものを常に感じさせるため、評論家筋にやたら評価が高いのですが、本質的には日本人好みのサウンドではないと思います(つまり歌謡曲的なところから最も遠いタイプ)。また違う言い方をすれば、イギリス的なインテリ臭がするところもあり、このあたりも好みが分かれるところ。かくいう私の場合、アルバム単位で非常に好き嫌いが分かれます。「ロール・ウィズ・イット」などはどうにもこうにも好きになれず、この「トーキング〜」や「バック・イン・ザ・ハイライフ」は比較的好き。プレイヤーとしては好きだけれど、ソングライターとしては諸手を挙げて歓迎とはいえない。そういうところも含めて思わず聴きたくなるときがある人でもあります。