FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD / Born To Run

Welcome to the Pleasuredome

Welcome to the Pleasuredome

思えば数ある「ビートルズの再来」と呼ばれた中で、チャート上、あるいは当時の社会に与えたインパクトでいうと一番近い存在だったのはフランキーだったのかなと思います。彼らが生み出した現象の中でも先駆的だったのは、ゲイという社会的マイノリティーの存在を「強気で」アピールしたこと、挑発的なPV、彼らというよりプロデューサーでありレーベルオーナーだったトレバー・ホーンの戦略だったかもしれませんが多くの種類のリミックス・ヴァージョン攻撃、そして「フランキーは○○と言った」シリーズのロゴが入ったTシャツのブームといったものがあります。音楽的な新しさという点ではむしろ彼らは非常にオーソドックスなバンドで、大ヒットした「リラックス」「トゥ・トライブス」「ザ・パワー・オブ・ラヴ」も曲の良さが目立つものでしかありません。

何はともあれデビュー以来のチャート快進撃は本当に凄まじいものでした。そんな彼らの1stアルバムは驚きの2枚組。彼らの音楽に対するオーソドックスさはカバー曲にも表れています。このアルバムでのカバーは(短い挿入曲も含め)4曲。エドウィン・スターの「黒い戦争」、ジェリー&ペースメイカーズの「マージー河のフェリーロード」、バカラックディオンヌ・ワーウィックの「サンホセへの道」、そして今回ご紹介するブルース・スプリングスティーンの代表曲「明日なき暴走」。選曲も王道ですし、アレンジもオリジナルと大きく変えず、メロディ重視なのが彼ららしいし、実にストレートで潔い。とりわけ「明日なき暴走」「黒い戦争」はオリジナルよりも疾走感があり、非常に好きなカバー。イメージや社会現象の過激さとは裏腹に、音楽に対するこの真摯な姿勢もあっての当時の人気であったことはもう少し見直されてもいいのではないかな・・・と弱気に言ってみます(笑)。

Born to Run

Born to Run