ELVIS COSTELLO & NICK LOWE / Baby It's You

Goodbye Cruel World (Dlx)

Goodbye Cruel World (Dlx)

スティッフ・レコードでのデビュー作「マイ・エイム・イズ・トゥルー」からの付き合いになるコステロとニック。この二人が久々にアンプラグド・スタイルで共演したのがこの「ベイビー・イッツ・ユー」。オリジナルはシュレルズによる61年の大ヒット曲で、作曲はあのバート・バカラック。カバーも多く、一番有名なのは何と言ってもビートルズ。1st「プリーズ・プリーズ・ミー」でカバーしています。おもしろいことにブルース・チャネルもこの曲をカバーしています。ブルース・チャネルというアーティストは、ビートルズのデビュー曲「ラヴ・ミー・ドゥ」の元ネタといわれる「ヘイ・ベイビー」のヒットを飛ばした人。単なる偶然でしょうが。他にはバカラックビートルズも大好きなカーペンターズもカバー。
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コステロとニックのコンビネーションは最高で、声の質も全然違うのですがなぜか合っているのはジョン&ポールと一緒。ビートルズのヴァージョンよりも幾分ゆっくりめで、静かにハーモニーをつむぎ出す、といった感じでしょうか。当時は未発表で、後に編集盤「アウト・オブ・アワ・イデオット」に収録され、現在は「グッバイ・クルエル・ワールド」のボーナストラックとして収録されています。この未発表となった経緯がおもしろく、ライナー(英文なのでいい加減な訳かも)によると、ツアー中にレコード会社から12インチシングルの穴埋め用にニックと録音することを勧められたそうですが、実際に録音したところ、「あまりに良すぎる」と判断され、本物のシングルとしてエアプレイされては困るというおかしな理由から発表が遅れたそう。コステロいわく「現在のレコード産業はげに複雑な戦略なものよ」と嘆いておりました(笑)。

なにはともあれ、かのバカラックの曲ですからメロディからして悪いわけはなく、冒頭の「シャララララ〜」からもう涙ものです。アルバム「グッバイ・クルエル・ワールド」も傑作ですからぜひ聴いてみてください(「ダメ盤検証」参照)