BOSTON / To Be A Man

Third Stage

Third Stage

ボストンのこのアルバムが出たときは、「8年ぶり」(というより8年かけた)「シンセ無使用」ということが随分喧伝され、異常な盛り上がりを見せたんですが、70年代の「幻想飛行」「ドント・ルック・バック」を知らなかった当時高校生の私としては、そんなことよりも先行シングルの「アマンダ」の完成度の高さに心底驚き、アルバムが出るのをワクワクして待ってました。
何しろ「アマンダ」は当時としては珍しくPVなし、純粋に曲の良さだけでかつてのファンだけでなく新たな私のようなファンをひきつけたんですから、その凄さがわかってもらえるでしょう。それくらい「アマンダ」は衝撃的で、あっという間に全米1位になったのも当然(後にも先にも「これは絶対1位になる」と思ったシングルはこれくらいだった)でした。
で、アルバムはといえば、まずジャケットに「???」でした。ボストンを知っている人ならまったく違和感がないでしょうが(1stや2ndとそんなに変わらない)、「アマンダ」から入った新しいファンからすると、SFチックな子供っぽいジャケはまったくイメージに合わなかったんです。
まあよく考えてみれば、ジャーニーとかカンサスとかと同系統の正統派アメリカン・ロックなんで、ああいうジャケのセンスは今となっては違和感がありませんが、当時は「?」でした。
肝心の中身は、とにかく丁寧に作られているなぁという印象。でも「アマンダ」ほどの衝撃はなく、当時は1曲目だけを聴いて終わりということが多かったと思います。
今になって聴くと、たとえば今回取り上げた「トゥ・ビー・ア・マン」はドラマチックで、曲作りのツボを上手く押さえているなぁと思いますし、シンセなしでこのサウンド作りとは、かつてのクィーンとはまた違うアンサンブルに妙に感心してしまいました。
現在こういう「説得力」のある正統派な曲って少なくなったなぁとつくづく思います。