BILLY JOEL / She's Right On Time

Nylon Curtain

Nylon Curtain

「ビリーにとっての『サージェント・ペパーズ』」という評価が表すように、ビリーの意欲作であった「ナイロン・カーテン」はそれまでの作品に比べるとチャート・アクションではやや低調で、現在でもこのアルバムは「力が入りすぎ」といった評価しかされていないようです。個人的にはアメリカン・ポップスの焼き直しである「イノセント・マン」や50’s・60’sのロックンロール・リバイバルのような「グラス・ハウス」よりも遥かに優れた作品だと思いますし、「ストレンジャー」から「ニューヨーク52番街」を経て「グラス・ハウス」までの音楽性をブレンドし、そこにメッセージを込めた本作はもう少し評価されてよいと思うのですが。

ビリー自身もこのアルバムはお気に入りのはずで、「アレンタウン」「グッドナイト・サイゴン」はいまだにライヴで演奏されています。さて、そんな中、ビリー・ファンには似非クリスマス・ソングとして長いこと愛されていたのが本作に収録されている「シーズ・ライト・オン・タイム」。なんで似非かというと、一応クリスマスを題材にしているものの、曲調がクリスマス・ソングっぽくない(まあスレイドもそうなんですが)ため。それでもずっと愛されてきたのはシングル化されていないにもかかわらずPVが製作され、その内容が抱腹絶倒なため。現在リマスター盤でエクストラ・トラックとしてPVが収められていますから、気になる方はぜひチェック。

PVが印象的だということは実は曲も非常にドラマティックだということ。それゆえPV化されたと考える方が自然です。曲調こそポップナンバーの体裁を取っていますが、実はバラードです。ロマンティックにクリスマスを演出するならこの曲をどうぞ。