STATUS QUO / Margarita Time

Back to Back

Back to Back

いきなり恐縮ですが、アマゾン(はまぞう?)は、この「マルガリータ・タイム」が収録されたアルバムのタイトルが間違っています。正しくは「バック・トゥ・バック(Back To back)」です。
さて、ステイタス・クォーといえば、長いキャリアを誇るブギ・バンド(というには幅広い音楽性ですが)で、あの85年のライヴ・エイドでイギリス・ステージのオープニングを飾るほどの人気を持つバンド。にもかかわらず日本での知名度は非常に低いのがつらいところ。なんででしょうね??
有名どころの曲としては、ライヴ・エイドでも演奏された「ロッキン・オール・オーヴァー・ザ・ワールド」(ジョン・フォガティ作)や、「ロール・オーヴァー・レイ・ダウン」「キャロライン」「ドント・ウェイスト・マイ・タイム」「ダウン・ダウン」「イン・ジ・アーミー・ナウ」、アルバムでも「ピクチャーズ・オブ・マッチスティック・マン」、「パイルドライヴァー」など数多くのヒットを持っていますが、今回紹介する「マルガリータ・タイム」も83年に大ヒットとなった曲。
ところが、この曲があまりにこれまでのクォーのイメージから遠いせいか、ベスト盤にも漏れていることが多いようです。彼ら自身もここまで売れるとは思っていなかったのかもしれません。
いわゆる「パブ・ミュージック」(パブ・ロックではない)とでもいうべき、酒飲みながら大声で歌えるタイプの楽しい歌なんですが、激しいリフとスピード感が身の上の彼らとしては、ちょっと異質だったのかもしれません。
したがってこの曲を聴くためには、彼らの数多いベスト盤から探しまくるか、オリジナルのこのアルバムを聴くしかありません。かくいう私もまだ持っていない(涙)。

THE BEACH BOYS / "Break Away"

20/20

20/20

今年はビーチ・ボーイズづくしの1年でした。中学生の頃から聴いてたのに不思議なものです。彼らの曲で好きな曲は山のようにあるんですが、今年の私の心のスイッチをひねりまくったのがこの「ブレイク・アウェイ」。
この曲は不思議なエピソードがあるようで、暴君の父親マリー・ウィルソンがブライアン・ウィルソンに追放されていたにもかかわらず、なぜかこの曲については共作をしたんだそうです。この時期のビーチ・ボーイズはイギリスは別として人気が落ちてきており、解散を考えていたそうで、キャピトルとの契約を消化するために作った「ラスト・シングル」としての意味があったんだそうです(ほんとかどうかはわからない)。
そのせいか、当時のブライアンとしては至極真っ当なポップ・ナンバーで、「ペット・サウンズ」「スマイリー・スマイル」を経たビーチ・ボーイズとは思えないくらい穏やかな演奏(覇気がないともいえる)になっています。
イントロから最高、歌詞の始めのメロディーが極上、サビで泣かせて、怒涛から静寂へのエンディングと、ポップの芸術品といってもいいくらいすごい。初期の「サーファー・ガール」「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」「イン・マイ・ルーム」と金太郎飴のようなバラードを作った人と同一人物とは思えないくらいの天才・ブライアンを感じさせます。
ほんと、なんて凄い曲だろう。。。
ちなみにこの曲はシングルだけの発表なので、現在は「フレンズ/20/20」の2イン1アルバムのボーナス・トラックとして聴くことができます。ベスト盤にも収録されているのがありますので、ぜひ聴いてみてください。

ROBERT TEPPER / No Easy Way Out

ROCKY IV

ROCKY IV

サバイバーの「バーニング・ハート」、ジェイムス・ブラウンの「リヴィング・イン・アメリカ」のヒットを生んだ名サントラ盤「ロッキーⅣ」の中の1曲で、確かシングルカットもされたはずですが、当時新人だったロバート・テッパーの曲。
これが超のつく名ロックナンバーで、ぶっとい音と声(好き嫌いは分かれる)が印象的でした。映画では確かトレーニングの場面で使われていたため、比較的長く使用されていました。それに比べるとケニー・ロギンズとグラディス・ナイトというすごい組み合わせによる「ダブル・オア・ナッシング」だとか、当時人気上昇中だったゴー・ウエストの「ワン・ウェイ・ストリート」だとかはほんのちょっとしか使われておらず、それだけにこの曲のフィーチャーぶりが目立ちました。
残念ながらこのロバート・テッパー、この曲を収録したアルバムとあと1枚くらいで消息不明になりましたが、このソロアルバムが実は今プレミアを呼んでいます(すっげー高いの)。やはり当時の私と同様、注目している人は多いんですね。再発しないかなぁ。
話は「ロッキーⅣ」に戻りますが、このサントラにはタッチ(あだち充でも双子の芸人でもない)というバンドによる「スウィーテスト・ビクトリー」という印象的なロックナンバーが収録されています。ところがこのバンドも当時からクレジットがまったく不明。ヴォーカルだけ聴いてると、サバイバーかジャーニーかといった感じで、サウンドもモロに産業ロック的でしたが、どなたか詳細を知っている方は教えてください。

BRUCE SPRINGSTEEN / Because The Night

Live 1975-85 (3 Cds in Double Jewel Case)

Live 1975-85 (3 Cds in Double Jewel Case)

オリジナルは、ニューヨーク・パンクの女王:パティ・スミスが78年にヒットさせたもので、この曲はスプリングスティーンと彼女との共作。
言わずと知れた名曲なんですが、もう一人の作者版であるスプリングスティーンのヴァージョンは、86年の3枚組ライヴ盤が初出。元が名曲なのでどう料理しようがいい曲なんですが、私個人としてはパティ版よりもこちらのライヴ・ヴァージョンの方が圧倒的に好きで、イントロのピアノが流れ、観客がわっと盛り上がるところからこちらももう鳥肌モノ!
ブルースの曲は「ザ・リヴァー」「涙のサンダー・ロード」「ネブラスカ」「マイ・ホームタウン」とストーリー性のあるものが多く(というかそれだらけ)、曲の展開がドラマティックなところが凡百のアメリカン・ロックと違って私の好みなわけですが、とりわけこの「ビコーズ・ザ・ナイト」はドラマティックな展開にめまいがします。
ブリティッシュ好きな私でも彼の詩作と曲は非常に心打たれるものが多く、「アメリカン・ロックの良心」というキャッチはダテではないと素直に感じるわけです。ちなみにこの曲の収録された3枚組ライヴは、あの「ボーン・イン・ザ・USA」の大ヒット後に出たそれまでのブルースのキャリアの総括ともいえる大傑作ライヴで、長いにもかかわらずあっという間に聴ける名盤。選曲もそれまでのべストといえる内容なので、もし中古で発見したら買うべし。

THE MOVE / It Wasn't My Idea To Dance

Message From the Country

Message From the Country

ムーヴはエレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)の前身バンド(本当は違うともいけるけれど複雑な事情なので省略)で、ロイ・ウッドとジェフ・リンという「ポップの天才」が二人もいたことで知られています。
とにかく後のELOの方が目立つため、忘れられた「名バンド」となっていますが、イギリスではとんでもないほどヒットを連発したバンド。67年の「ナイト・オブ・フィア」を始めとして、「アイ・キャン・ヒア・ザ・グラス・グロウ」「フラワーズ・イン・ザ・レイン」「ファイア・ブリゲイド」「ブラックベリー・ウェイ」(超名曲!)「カーリー」「ブロントザウルス」「トゥナイト」「チャイナタウン」と、曲調のバラエティさ、アレンジの多彩さ、そして何よりポップなところが素晴らしい。
今回紹介するのは、ムーヴ最後のアルバム「メッセージ・フロム・ザ・カントリー」の中の1曲。楽器の音色が独特で、どこかメランコリーなロイ・ウッド節炸裂のナンバー。
今はほとんど隠居状態のロイ・ウッドですが、ジェフ・リンとはまた違うタイプのポップ感覚は、実はフォロワーがいないことからわかるように、稀有な存在でした。もう少しジェフ・リンと一緒にELOをやっていたら…と思うと本当に残念。
ロイ・ウッドについてはこの1stが本当に最高。ヒット曲も収録されているのでぜひ一聴を。
Boulders

Boulders

BOSTON / To Be A Man

Third Stage

Third Stage

ボストンのこのアルバムが出たときは、「8年ぶり」(というより8年かけた)「シンセ無使用」ということが随分喧伝され、異常な盛り上がりを見せたんですが、70年代の「幻想飛行」「ドント・ルック・バック」を知らなかった当時高校生の私としては、そんなことよりも先行シングルの「アマンダ」の完成度の高さに心底驚き、アルバムが出るのをワクワクして待ってました。
何しろ「アマンダ」は当時としては珍しくPVなし、純粋に曲の良さだけでかつてのファンだけでなく新たな私のようなファンをひきつけたんですから、その凄さがわかってもらえるでしょう。それくらい「アマンダ」は衝撃的で、あっという間に全米1位になったのも当然(後にも先にも「これは絶対1位になる」と思ったシングルはこれくらいだった)でした。
で、アルバムはといえば、まずジャケットに「???」でした。ボストンを知っている人ならまったく違和感がないでしょうが(1stや2ndとそんなに変わらない)、「アマンダ」から入った新しいファンからすると、SFチックな子供っぽいジャケはまったくイメージに合わなかったんです。
まあよく考えてみれば、ジャーニーとかカンサスとかと同系統の正統派アメリカン・ロックなんで、ああいうジャケのセンスは今となっては違和感がありませんが、当時は「?」でした。
肝心の中身は、とにかく丁寧に作られているなぁという印象。でも「アマンダ」ほどの衝撃はなく、当時は1曲目だけを聴いて終わりということが多かったと思います。
今になって聴くと、たとえば今回取り上げた「トゥ・ビー・ア・マン」はドラマチックで、曲作りのツボを上手く押さえているなぁと思いますし、シンセなしでこのサウンド作りとは、かつてのクィーンとはまた違うアンサンブルに妙に感心してしまいました。
現在こういう「説得力」のある正統派な曲って少なくなったなぁとつくづく思います。

NENA/Hangin' On You

99 Luftballons

99 Luftballons

実はリアルタイムでネーナの「99はロックバルーン」を聞き逃している私。気がつけば、「ネーナ」といえば「わき毛」というイメージだけがあって、実際のところネーナはこの後日本でもアメリカでもまともなヒットはない。「99〜」はいかにも80年代らしいポップ・ナンバーではありますが、名曲というほどではないと思っていた私が、彼女らのアルバムを聴いて、その才能を思い知らされました。
当時アルバムは2種類あって、ドイツ盤と英語で歌ったアメリカ編集盤「ファースト・アメリカ」というのがあったはず。私が聴いたのは後者でしたが、収録曲はほとんど同じ。「?」は「レッテ・ミッヒ」などはシングルヒットしましたが、「99」よりもいい曲。
その中でも「これはいい曲だ…」と思ったのが今回紹介する「ハンギン・オン・ユー」。彼女らには珍しいロッカ・バラードで、メロディ、アレンジ含め、これがいいのですよ。
彼女らの場合、とにかくネーナのヘタウマ・ヴォーカルが目立ちますが、他のメンバー(名前は知らん)の作曲力と素人っぽいがとにかくポップを心がけたアレンジは、十分に「個性」と呼べるもの。80'sのオムニバス・アルバムにしか登場しない彼女らではありますが、いまだにアマゾンなどでもオリジナル・アルバムが買えるところをみると、まだまだ人気もあるのでしょう。アイドルといっても侮れないのが80'sの奥深さですね。